ある高校の卒業式のお話。
それからのことと、これからのこと。本当にそれだけストーリーらしいストーリーはない。
『それからのこと』では卒業式前日になんだか距離の縮まった2人の甘酸っぱい青春が描かれる。
"2人にしてあげようと思って笑"
高校生ってそんなのあったな(ぼくにはなかった)。普段からつるんでるグループの中で、絶対お互い好きなのにそれは言葉に出せない感じがなんだか青臭くてケッて感じもしつつ、やっぱり若いって素敵だし、大人になるとあの感覚って無くなってくよなぁ…。
対する後半の『これからのこと』がビター過ぎて胸が苦しくなったけど、こっちが素晴らし過ぎて評価爆上げ。
"またな"
卒業する3年生は写真部の後輩の女の子にそうやって明るく別れを告げる。彼は専門学校への進学も決まっていて、プロの写真家への明るい未来を夢見ている。
一方残される2年生の後輩の女の子は先輩への秘めた想いを口に出せない。しかも先輩との思い出の写真部はいよいよ廃部の危機。
つらいのはいつだって残される側だ。先輩のいない学校生活と、大切な写真部の存続と、彼女が想像するこれからのことは決して明るい未来ではない。
友人たちと笑顔で合流する先輩と対になるように、暗い部室で1人先輩の写真にうなだれる彼女に胸が締め付けられる。