QTaka

それからのこと、これからのことのQTakaのレビュー・感想・評価

3.0
『それからのこと』
「明日、泣くなよ。」
「おまえがな」
卒業式を迎えたその頃。
黙っていても、時は流れる。
そんな流れを眺めているだけではいけないのかと。
焦りとともに、溢れる感情を抑えながら。
ただただはしゃぐことで表現する時間。
.
教室での会話。
黒板には、「卒業式まであと1日」
向き合って座る二人の姿が、明るい教室に注ぐ陽の光に逆光で浮かぶ。
それからの時を感じる、これからの日々を感じさせる会話が眩しい。
ーーー
『これからのこと』
同じ時間に別の場所で同時に進む、別れの場面。
「これからのこと」?
そうは見えなかった。
ちょっと暗い写真部の部室
ポートレートのような、逆光のカット。
そこに、「これから」が見えるのだろうか?
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同じ時間を過ごす高校生達の、旅立ちと別れを同じようなカットを交えながら、その心の内をスクリーンに収めたカメラワークの秀作。
桜の美しさも含めて、映像の力を感じる映画だったと思う。
ーー
勝手に石橋夕帆監督特集をしている。
配信サービス「青山シアター」のライブラリーを見ているだけなのだが。
4本まとめて見て、その面白さと、表現力を堪能できた。
さらに、それぞれの作品の主演女優の魅力の引き出し方の妙を感じた。
いずれもその時点ではさほど注目される存在では無かったかもしれないが、今となっては、スクリーン映えする立派な女優さん達だ。
そういう、魅力を引き出す映像の作り方が有るのだろう。
それに応える女優の力というのも有るのだろう。
本作の主演芋生悠さんもその一人だろう。
昨年、石橋監督の「左様なら」で芋生悠さんを見た。
圧巻の演技だった。
今回、石橋監督の初期作品を並べてみて、その中で芋生悠さんを見てみて。
「左様なら」がまた違って見える気がする。
今週末には、配信サービス(STAY HOME MINI-THEATER)で見られる。
アフタートークを含めて、楽しみだ。
こうしてみると、映画監督や俳優さん達との距離が、配信サービスやその上で行われている企画によって、どんどん近くなってきている気がする。
今までの、映画館で見るだけの映画とはちょっとずつ変わってきている。
コロナも悪い事ばかりじゃない。
こうして、変わって行かなきゃダメなんだ。
そして、そこにはもっと楽しい事が有るはずだ。
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