Nobukyouju

三城記のNobukyoujuのレビュー・感想・評価

三城記(2015年製作の映画)
4.1
この映画も良質。
中国映画はクオリティに違いがあって観る前はドキドキするが基本ビッグスターが出てるかどうかでほぼ別れる感じですかね。

でもラウチンワンでは娯楽に振りすぎてなんじゃこりゃはあるかも。この作品の場合はタンウェイがキーパーソン。
彼女の映画ならたまたま自分には合わない、はあったとしてもクオリティ的に外れないので損した感じにはならない。
彼女は最初から国際スターだった。ラスト、コーションで。
素晴らしい存在感をいつも見せてくれる女優さんです。
参考に。

さて、本編ですが自分も予備知識なく観ましたがジャッキーのご両親、元国民党のスパイの方の実話ということですがなるほどこの過酷さなのかということですね。

私は世間に言うジャッキーチェンが共産党に魂を売ったなんていう話は話半分派。
どの映画を見ても特に人を集める人の作品なんかは共産党の指導なのか忖度なのか、変なバイアスは発生する、のが中国、香港映画。
そしてジャッキーチェンは勝手なファンたちの願望の理想の人間なのではなく、所謂芸能人養成所で一般常識よなく成長した訳なので、一般的な観点ではろくでなしの過去もあるのが特に現地で晒されているし、本人的にも自伝で一生懸命カミングアウトしている。だが息子の逮捕などの不幸や不運、若しかしたら政治コントロールも含め、少なくとも本人的には社会貢献などを自己満の範囲かもしれないが他人よりはよく行っている印象。
その他、有名な恩人敏腕マネージャーもクビにしているし、自分のスタントチームも紆余曲折あったみたいで過去の人間と会って号泣してる姿とかを見ると人間完璧ではないしやれる範囲で生きていく、ということだけ。
人の人生他人にどうこう言われる筋はない。
いい人間であるかどうかは世間が評価する部分もあるが他人一人一人の意見などどうでもよく(全て聞けないし、判断も出来ないという意味で)自分の価値観とその行動は出来る範囲で行うだけ。
彼は自分の中では非常に自分自身の一部を作ってくれた人ではあると思っているが今彼の新作を評価することはほぼ皆無。
しかしこの作品もそうだが過去の史実を知ってもらう為に情報提供したり(それも自己顕示欲の強さかもしれないが)自分の映画に新しい人材を登用したり未開の地に出てその国の人にチャンスを与えたりとファンの為というより自分の周り全ての為に動いており、それが彼でなくては出来ないようなことなので自己犠牲の精神などにも溢れていることを感じている。
そんな会社の経営者、日本にいますか?

もし知らない人がいれば。

この作品も彼の両親に焦点を当てているとはいえ、作り手側、及びジャッキーが示しているのはこういった過去があった、という話。
日本に一物持っている人がいる、というのは否めないだろう。
ジャッキー自身も学が付くにつれて日本贔屓で無くなっているのも自然とそうなっていったのかもしれない。

それを一組(ニ組)の夫婦の実話と対比させ見せることで楽しませる、という構成。

黒人だけでなくアジア人の差別的な扱われ方も感じられればいいのではないかと思います。
中国人は日本人に対してだけでなく全方位敏感ですからね。

中国、アジアを知る為に、主役2人が引っ張り脇も熱演、名演とは言わないまでもこの作品を楽しませてくれます。

これもオススメです。
Nobukyouju

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