白石和彌監督らしく、手持ちのショットが多め。
何よりも素晴らしいのは、何もないような世界の中に、しっかりとストーリーを通す構成。
それぞれが風俗嬢をする理由はあるけれど、そのどれもがセリフを通じて理解できる。
とろサーモン村田の怪演がすさまじい。もはや普通の役者として十分通用すると思う。
そして子どもに暴力を振るうあの女性は、なんだか強烈なリアリティを帯びていた。
ところで、どんな仕事であってもいろんな事情でその仕事をしているわけで。好きでその仕事をしている人もいれば、仕方なくやっている人もいる。
人と関わりと求めるためにこの仕事をして、この仕事をする女性を求める。というのは綺麗事か。
全員がお互いを見下す歪な構図は、かろうじてこうやってプライドとのバランスを保っているふうだった。