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君の名前で僕を呼んでのmogmogのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0

北イタリアの景色や登場人物、ストーリー。どれも刹那的で美しく胸が締め付けられます。

映画が終わった直後は「オリヴァーはなんてズルい男なんだろう。」と思いました。名前を呼ばれるたびにオリヴァーを思い出すよう呪いをかけられたエリオに同情しました。

けれど、時代背景や彼の言葉を思うと憎みきれなくなりました。

おそらくオリヴァーはゲイセクシャルで、この時代のアメリカでは、彼の家庭では、それが受け入れられないために自分を偽って生きていた。
一方、エリオが育った家庭は寛容で、オリヴァーは北イタリアにいる間は、エリオと過ごしている時間だけは、本当の自分でいられた。
だからこそ、彼はこれからも自分の楽園で生きていくであろうエリオを自分の名前で呼び、これから本当の自分を偽りながら生きていくであろう自分をエリオと呼んでもらうことで救われたかったのではないだろうか。

そう考えると、オリヴァーという男の苦悩と諦観が愛おしく、もっとこの映画がすきになりました。

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