Reona

君の名前で僕を呼んでのReonaのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
-
毎年夏に見返すようにしている。最初高校生の時見た時には、何が何だか分からなくてあー同性愛ものか....ぐらいに思ってた。だけど年々、理解できる台詞やカットの意味が増えてどんどん好きになっている、自分の中で存在が大きくなっている映画

目に映るもの全部が綺麗 異国で時代も違うのに、私が知ってる夏もたくさんあって心をギュッと掴まれる。
ヨーロッパの夏の、夜まで明るくて電気をつけず、夕焼けじゃない青白い光を頼りに生活する感じ、その中でしんと静まり返って、冷房もなく、自分の足音が響き渡る感じが、昔イギリスに短期留学してた時の記憶と重なる。
自分の地元が桃の産地なこともあって、画面のピンクと緑のコントラスト、食卓に果物が並び、果汁で手をべっとべとにする風景、全部見覚えがある。


エリオが経験した感情、お父さんが伝えたかったこと、は同性愛者に限らず全員に言えることな気がしている
名前のつけられない、他人に共有しようのない曖昧なことがらは大人になるにつれてどんどん増えていく
それはきっと痛みを伴うものだけど、自分の中でなかったことにするのはもっと恐ろしいこと、らしい その痛みを無視せず、全部愛おしい記憶として覚えてる選択をしたエリオは、新しい世界の見え方を手に入れたんだろう

「思慮深くなる」とか「視座が高まる」とかいう言葉も合ってるけど陳腐に聞こえる〜お父さんの言葉を借りるなら「次に出会う誰かに与えるものがより大きく、豊かになる」ということなのかしら、.........

いつか若さが失われて、肉体に誰も見向きもしなくなった時、曖昧さを許容し慈しめる心が内面に輝きを与えるのかも その時誰が自分を見つめてくれるんだろうね


(冒頭のHallelujah junction 1stも、お父さんとの対話のシーンのマメールロワ妖精の園も、どっちも連弾の曲なの!なんだかエリオとオリヴァーみたいだよね、)
Reona

Reona