「万物は流転する」
作中で引用されるヘラクレイトスの言葉であるが、それをひとつの関係性の中で表現した作品と言えよう。
万物──あるひとつの存在、関係、現象──というものは、大きな契機だけでなく、様々な風景、音、気温、感触、夏休み、旅行……そういった物も取り込み、内側に埋没させながら裏返り、存在は流れていくように流転≒変化していく。しかし流転しつつも、失われることは無い。埋没しながら保管されるそれらは経験として、その存在だからこその変化を促す。そういう存在同士の関係性は唯一無二であるが、それもやはり変化の中にある永遠のひとときである。
だからこそ、監督はそのひとときをもたらしたあらゆる物を美しく描写しているのだと思う。
万物は火である、を表すようなラストに痺れた。