ぼっちザうぉっちゃー

君の名前で僕を呼んでのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.4
めちゃくちゃ良かった。
作品内の様々な要素や感性、その内の何か一つでもこの手の中に切に感じたい。そんな風に思わされる稀有な体験をした。

歴史感じる北イタリアの街並みが圧倒的に画になっていて、ティモシー・シャラメの絵に描いたようなアンニュイと相俟って匂い立つような豊潤さを醸していた。
その中でメイン二人が過ごす夏というのはどこかおとぎ話のような暢気さがあって、全然見当違いかもしれないけれどなぜだか季節感や性別の真逆な『花とアリス』のような雰囲気に感じた。

二人の肉体的な接触は、男同士であるが故の遠慮のなさというか開放感に満ちていて、また局部を避けて映される手元の遊びというのがとても官能的だった。
あとそれぞれアメリカ的とヨーロッパ的に短パンが似合い過ぎている。

そして芸術や学術に包まれた空気感がすごく良かった。
そういった訓辞や知性に溢れつつも“何も知らない”エリオ、とオリバーの出会いはありとあらゆる言語を用いても、表現できない、容易に解せない「奇跡」であり、「切ない」という言葉では言い表せないとてつもなく大きな感情が胸に残った。