湯っ子

君の名前で僕を呼んでの湯っ子のレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.0
ずっと気になりつつそのままになっていたけど、夏も終わるし…とこのひと夏ものをチョイス。
ティモシー・シャラメ…まともに出演作品を観たのはこれが初めて。
ほぅ…(ため息)私にとってのリアル・ジルベール(竹宮惠子の「風と木の詩」より)は、シャラメに決まりです。おそらく70年代なら間違いなくビョルン・アンドレセンなんでしょうけど、まだ彼の出演作は「ミッド・サマー」しか観てないので。

自分の美しさに自覚的な反面、本当に自分の求めるものはよくわかっていない繊細な美少年。こんなの乙女は好きに決まってる!年季入った乙女の私も、まんまとうっとりしました。
相手役の美青年アーミー・ハマーももちろん美しいのですが、七三分けに半ズボンとスニーカーのファッションがどうにもおじさんくさく。最初の方は彼の視点は描かれなくて、少年側からの視点で綴られる。だけど、物語の終盤から、青年側の視点に移った時に感情を揺さぶられました。

物語は平坦に進むようでいて、それまでの視点をがらりと変えるようなシーンが挟まれます。大きなエピソードを使わずに見せ場を作る。こういうやり方があるのね!と新鮮でした。
美人で知的で金持ちの夫と仲良しで息子がシャラメで、いっつもカッコよくタバコをふかしているママ…キー羨ましい!と最初は思ってましたけど。本人たちにしかわからない事情ってあるんだなぁと思ったり。

ラスト、涙にくれるシャラメと、後ろで普段通りに食卓の支度をする女たちのシーンが好きです。
自分は身も心も引き裂かれるような悲しみの只中にいるけど、家族からしたら「ああ、なんか落ち込んでんな」ってくらいなの。で、シャラメのシャツにハエが何度も止まってくるの。あのハエ、映画じゃないと絶対ないでしょ、それが良かった。
湯っ子

湯っ子