このレビューはネタバレを含みます
夏の間のキラキラした思い出を美しく官能的に描いた作品。どの部分を切り取っても映像が本当に綺麗でずっと胸がドキドキしていた。
曖昧な言動で愛を表現する姿がもどかしく、大人になりきれないエリオと気持ちをどうにか制御しようとするオリヴァーとの関係性が儚くて美しくて苦しかった。
特に印象的なのはアプリコットで自慰するシーンと旅行中嘔吐していまうシーン。汚いものとして扱うことが多いなか、このふたつのシーンを含め"全てが美しかった"と断言出来るのが凄い。
また、タイトルの「君の名前で僕を呼んで」の通り"相手の名前を自分の名前で呼ぶ"ことで自分のなかに取り込む(=ふたりでひとつになる)という最高の愛の表現が本当に良かった。
初恋の表現がとてもみずみずしく描かれていて、細かい心情表現が沢山詰まった作品。
色々な感情に揉まれながらも、美しくキラキラ輝いていたあの頃はもう二度と帰ってこない。それでもお互いがお互いを忘れないで生きていくという選択をしたことにとても心惹かれた。
ラストのお父さんのセリフ「痛みを葬るな」は多くの人に届いて欲しい。