エリオにとってはじめての大人の恋。
それはひと夏の経験だったけど、歳を取っても今まで味わったことのなかった喜びや悲しみや後悔の念は若い時の衝撃のまま色濃く残り続けるだろう。
同性愛の物語は色々あるけれど、この作品はそれを色眼鏡で見る周りの環境が最小限で目新しい。そして、救いでもある。
そのおかげで二人の愛が屈託無く、ありのままの姿で描かれていて素晴らしい。
『君の名前で僕を呼んで』の題名通り、二人が自分の名前で相手を呼ぶ行為は恋愛関係において相手に自分と似ているところを探したり、同じように感じているのを確認したくなったり、その最終形としてその人が自分の分身のように感じてしまうのを肯定して伝え合う最上級の愛情表現だと思った。
名前のつけられない愛、だけど永遠に忘れられないひと夏の恋愛の物語。
