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君の名前で僕を呼んでのIのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.9
全てが美しくて理想の世界だった。学や富や余裕、そして理解があり正しい方向へ導いてくれる両親や、優しくて自分のことが好きでかわいい女友達などの人間関係、街も美しい。恋する二人も美しくやがて関係は壊れてしまうけどそれも優しく包み込む母と何より自分と同じような痛みを分かつ父親の言葉。どこかで読んだ記事には、原作者のプロフィール・生い立ちが、父親、オリバー、エリオと重なるとあった。原作者は実際にゲイカップルとして出演している。理想で固められても受け入れられるのはそれがもう叶うことのない過去だからか、演出に余白があるからか、それとも主人公の失恋という絶対的な不幸からか。どれも合ってる気もするけど、どれも違う気もするのは、そんなことどうでもいいと思わせる作品としての完成度の高さ、というか奇跡的な美しさ。感情移入するとかしないとかを超える。サントラ、キャスト、画、どれをとっても美しい。
この映画は作者による作者自身の鎮魂歌であり、切なさも美しい作品。
個人的には(また?!な)トーキング・ヘッズ(嬉しいけど)のTシャツとニューウェーブの音楽もグッときた。スフィアンの主題歌、エンディング曲も良かった。
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