ハリウッドでのリメイクも決まった韓国ノワールの大傑作である「新しき世界」のパクフンジョンが監督を務めた作品。
冬山を舞台に孤独な父親同士の壮絶な戦いが描かれています。
かつては凄腕の猟師だったチェミンシク。
今は息子と2人で山奥で暮らしていた。
彼が猟師を引退することになったきっかけは、山神様とも呼ばれる巨大なアムール虎との間に起きたある事件によるものだった。
そして運命の悪戯により、彼は因縁の虎と再び対峙することになっていく。
この作品、単なるアニマルパニック映画ではありません。
猟師と獰猛な虎、どちらも最愛の家族を亡くし、嫌が応にも孤独と向き合わなくてはなりません。
そんな孤独に心が支配された猟師と虎は、似た境遇からかどこかでお互いを認めながらも、復讐という名のもと、けじめをつけるために戦うことを決意します。
決戦前日の夜、虎と猟師はお互いの意思を確認するかのように無言で会話をするのですが、この無言の中に、双方が言いたいことが全て表されていたような気になる素晴らしいシーンでした。
監督は虎に関して「ライフオブパイ」を参考にしたそうです。
言われてみると確かにそう思える点がいくつもありました。
動きや感情、意思の疎通など人と獣を超えた関係性がどちらの作品にも生まれていたように思います。
ラストは韓国映画らしいオチでしたが、こうする他はないという必然性を感じる見事なラストカットだったのではないでしょうか。