アー君

A2 完全版のアー君のレビュー・感想・評価

A2 完全版(2015年製作の映画)
3.2
前回は荒木氏を中心に動いたドキュメンタリーではあったが、群像劇までとは言わないが、本作はもう少し引いて信者以外の人物にもスポットを当てて撮っている感じはあった。

一部の地域で住民と打ち解けあい、教団が出版された本を貸す場面があり、信者としてではない人間性に惹かれたためだとは思うようだが、これは被害者と犯人との調和によるストックホルム現象に近い心理症状が起きたのは貴重な事例として見どころはあった。(2001年公開ではカットされた三女と警官との談笑も同様)

近隣住民や右翼団体とのトラブル、上祐氏の出所、アレフ(アーレフ)の改称、本編にはないが、やがて内部抗争により分派へ向かって行くが、セクトの問題はカルト宗教ではなくても一般の組織でも起きえる自然な現象といえよう。

松本サリン事件の被害者宅への謝罪で河野さんは声を荒げずに終始冷静にはみえたが、淡々とした言葉には静かな怒りを垣間見ることができたのは重かった。

このシーンで気になったのはオウム側なのかわからないが、口調から推測して故・宅八郎なる人物が両者に口を挟んでいたが一体何なんだろうか。

話は変わってキリスト、釈尊やマルクスなど人類史に影響を与える人間はもう生まれることはないだろう。そして個人的には彼らも詐欺師の胴元であり、先駆けとして見ている節もある。
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