ハレルヤ

スターファイター 未亡人製造機と呼ばれたF-104のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.8
1960年代の西ドイツ。空軍で導入されたF-104という戦闘機が相次いで事故を起こし、パイロットが次々と犠牲になる。そんな中犠牲になった1人の妻が事故の原因の真相を求め、国を相手取り訴訟を起こす実話を基にしたドラマ。

パッケージとダサい邦題からかなりのB級臭が醸し出されていましたが、実際見てみるとかなり骨太な良作でした。もっとマシな宣伝しなさいよ。笑

優秀な空軍パイロットであるハリーとその妻であるベッティ。この2人のドラマを中心に展開される前半と、国というとてつもない大きな山に挑む後半とメリハリがついた構成。そこまで大きな演出がある映画ではありませんが、ストーリーと構成の良さで2時間しっかりと見せてくれました。

NATOの主導権を握りたいが為に、杜撰な形で多くの戦闘機を配備した西ドイツ。そのツケが大勢の死者を出すことになる事態に。事故原因も操縦ミスとして処理し、根本的な要因も追求せず握り潰そうとする。当時の西ドイツの国家ぐるみの酷さが滲み出ています。

事故の遺族である未亡人たちが一致団結し起訴まで持ち込む流れは紆余曲折がありながら見応えを感じさせてくれるもの。当時の社会問題にも踏み込んだ内容になっていて思っていたよりも深みがある作品でした。
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