さき姐

The Living Wake(原題)のさき姐のレビュー・感想・評価

The Living Wake(原題)(2007年製作の映画)
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プロットはすごい良さげなんです…
描かれるのは自称アーティストで頭のネジがとんだおじさんの人生最後の1日。今日死ぬ予定のおじさんは最期の夜には自前のショー"living wake"を用意していて、それで人生を締めくくろうとするのです。だからおじさんは朝から舎弟の漕ぐチャリ車に乗り、まるで人生の精算をするかのように珍道中し、行く先々で最期のショーの招待状を渡していくんです。と同時に記憶の中の父親に人生の"答え"を訊ね続ける。ていうブラックコメディなんです。
すごい良さげでしょう?

コメディだから基本ふざけてるんだけど、12時、つまり臨終まであと何時間、あと何分っていう残酷さがチラつくあたりとかアイデアとして勝ちだとも思ったし、秋のやさしい光も素敵だし、戯曲調の台詞回しもおもしろい。美術もかわいらしくつくってあるんです。何よりいつものように猫背で自信なさげなのに意外とデキる奴な舎弟のジェシーくんがかわいいんですよ。

でもね、なんか惜しいんですよね。
主演のおじさんの全力発声と最後のどこで笑えばいいんだかイマイチわからない全力パフォーマンス、空回り感が否めない。
元も子もないこと言ってしまえば、主演のおじさんが頑張りすぎてて笑えない。エキセントリック演技がちょっと安直すぎるような気がします。もっとゆるくできればかなりの良作になったように思うのです…。

あとちょっとでめっちゃ好きなやつだったのに、と少しばかりの困惑の中見つけたのが
Wes Anderson has much to answer for.
っていうレビュー。

大納得。腑に落ちました。
たしかにこの手のファザコン話はウェス・アンダーソンがとびきり上手いよね。
ゆるさって大事。
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