ストレンジラヴ

レザボア・ドッグスのストレンジラヴのレビュー・感想・評価

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)
4.0
「裏切り者はこいつだ」

宝石強盗を計画した強盗グループ。だが、実行の段階で警察の待ち伏せにあってしまう。命からがら逃げ延びたメンバーの間に、情報漏洩と裏切り者の疑惑が生じる。
すげー...これが監督第一作ですか。映画への情熱と膨大なレンタルビデオがとんでもない怪物を生み出した。とても処女作とは思えない膨大な台詞量と攻めた内容、そして緻密な構成にただただ驚いた。が、同時に僕は後世の価値観でしかこの作品を測ることができない無念さも抱えてしまうのである。つまり、デビュー作でこれを引っ提げてハリウッドに殴り込んだのは驚愕だが、いかんせんこの時点で完成されすぎているがためにその後の伸びしろが思ったほどではなかったことに気付いてしまったのだ(それでも面白いけれど)。例えば、本作と「パルプ・フィクション」を比較してみるとどうだろう?実はあまりトッピングされていないのではないだろうか?発射点があまりにも高かったがためにその後の展開が「同じことを素材を変えてやっている」ように見えてしまうような気がしてしまったのである。もっとも、未来のことなど分からないわけだから、当時の熱狂をこの価値観で測るのはナンセンス以外の何者でもない。先のことを知らず、真っさらな状態で本作を観てみたかった無念さが自分の中に生じた。