ストーキングを生き甲斐にしている元教師の青年(伊藤猛)が、とある医師から治験の副作用をもつ女性(伊藤清美)の尾行を依頼される。心にスキマをもった男女の慰め合いを描いている、新東宝配給のピンク映画。国映製作。
監督の幡寿一は、佐藤寿保の変名。脚本の別所透は、夢野史郎の変名。つまり、ピンク映画の「サイコ・スリラー部門」担当コンビであり、本作もまた鑑賞後グッタリさせられる、いつものヤツに仕上がっている。
人生の無常を実感している主人公と、奔放な若いカップル(穂村柳明&平松大)を対比させたり、医師(下元史朗)の複雑な心境を断片的に開示させたり、被害者の血を抜き取る吸血鬼事件を絡ませたり、これでもかと具材を放り込んでいる内容。
だが、具材を入れるだけ入れて、肝心の調理をしていないため、点と点がキレイに繋がらない、という難点が表出している。高刺激のゲリラ撮影と、男優・穂村柳明の魅力に助けられているが、エロスとタナトスを訴えるドラマとしては脆弱な部類。