セガール幹事長代理

戦後残酷物語のセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

戦後残酷物語(1968年製作の映画)
4.0
戦後日本。行く先々で米兵からの強姦被害に合う女が「どうせやるなら金よこせ」という発想で立ちんぼへ転職。金持ちのGIを愛人にすることで小金持ち生活を満喫するも、そう簡単には物事は進まない話。

目につく女を百万$の笑顔で脱がしにかかる米兵達に罪悪感は微塵もなく、病院を襲撃して患者とナースで性欲を発散する姿はお菓子の国に広がるチョコの家に齧り付く子供を連想させ、視聴者の味わう嫌悪感を薄める、とまでは流石にいかないが、バク転の練習のノリで一人の女を屈強な男達がくるくると回すアレは明らかに(監督の)悪ふざけ。
そんなに真面目に観なくていいんか、と良い意味で肩の力が抜けた。

と、ちょくちょくおふざけを挟む一方で、巧みな語学力と器量の良さで米兵を掌で転がす主人公、転がされてあげてる男、本当に転がる男、高笑いするかのような人類平等に訪れる死という真実、と上手にバランスがとれた滑稽でいて残酷な人間ドラマが繰り広げられる。

日本列島を型どった米が梅毒で汚染された血液に侵される画の表現はちょっとクサいしダサいが、愛国心強めの私は不覚にもぐっときてしまった。

パトロンの米兵にラブじゃなくてアイライクユーって連呼する表現も分かりやすくてよろしい。英検5級の私が言うんだから間違いない。

2023年現在、世界の15パー超が英語を用いてコミュニケーションをとっていると言うが、逆に言うと英語を扱えると15パーセントも知りたくもない情報と接することになります。
本作において、米兵の言葉を理解できない娼婦を英語を話せる主人公が馬鹿にする描写があったが、あの場でどちらが幸せなのかを断言するのはなかなか難しいだろう。高校で英語をちゃんと勉強しなかった自分の免罪符になった気がしました。

あと「アナタストロングボーイ!フィフティースリーアワーズ!」って日本の娼婦が米兵を褒めそやすんだけど、そりゃ日本は戦争に負けるわって思いました。

損得勘定に自信がある人におすすめ。
とてもよかったです。