さすらいの旅人

二度めの夏、二度と会えない君のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

2.8
期待のタイムリープが感じられない青春ロマンス映画。
【VOD/Amazon Prime/配信視聴】

タイムリープ物である事と題名のロマンチックさから前知識なしに鑑賞。
普通タイムリープ物は歴史が変わる恐れがあるため、スリルとサスペンスに富んだ展開になる。しかし、この映画はそれが無く、タイムリープを全く感じさせない青春映画であった。
主人公のナレーションで、この場面は前と同じだとか、少し違うとかの感覚で進む物語は正直面白くない。

高校生の純愛と仲間たちを映画の柱とし、不治の病、高校生バンド、文化祭での演奏と、青春映画の定番を入れた構成は目新しいものではない。重要なテーマであるタイムリープ理由も、あの日彼女に話した「ある言葉」を伝えないため。この陳腐で良く分からない理由からして、私は興味を無くしてしまった。
映画が成功するには、如何に観客の共感を得るかにかかっているが、共感を得やすいストーリーではないと思う。

あと、この映画は映画的スケールが全く感じられなかった。テレビ的アップ画面の多用のため、映画独特の奥行きの深さに欠けた。そして、夏の日のキラキラした風光明媚なショットも少ない。期待のバンドシーンはカメラワークの流動性に欠けており、迫力が感じられなかった。

辛口レビューになったが、本作は村上虹郎や人気ボーカリスト吉田円佳(MADOKA)、AKBの加藤玲奈のファンであれば観ていて飽きないと思う。しかし、ファンではない方が観た場合、製作者の方には失礼かも知れないが、ブロ俳優を除いては学芸会の域を出ていないと思う。
ただ、吉田円佳(MADOKA)をリーダーとする「たんこぶちん」の劇中歌は素晴らしく良く、青春を感じさせてくれた。