kkkのk太郎

君の膵臓をたべたいのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

膵臓の病を抱えたクラスメイトの女子高生・山内桜良との日々を、母校の高校教師となった「僕」による回想形式で描き出す青春ラヴストーリー。

余命いくばくもないヒロイン、山内桜良を演じるのは『エイプリルフールズ』『咲 Saki』の浜辺美波。
人との関わりを避ける図書委員の高校生「僕」を演じるのは『陽だまりの彼女』『信長協奏曲』の北村匠海。
桜良の親友、滝本恭子(現在)を演じるのは『ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT』『パラダイス・キス』の北川景子。
現在の「僕」を演じるのは『ミュージアム』『銀魂』シリーズの小栗旬。
「僕」のクラスメイト、ガム君を演じるのは『ちはやふる』シリーズやテレビドラマ『ゆとりですがなにか』の矢本悠馬。

原作は300万部越えの大ベストセラー同名小説。これは未読であります。
邦画お得意の「女子高生難病もの」。一言でいえばポスト『セカチュー』映画であります。

正直言って、かなりしんどかった💦
それほど長い映画ではないのにも拘らず、途中で休憩を挟んでしまうほどにキツかったのは、浜辺美波演じるヒロイン・山内桜良のキャラクター造詣があまりにも偶像的すぎたから。
こんなヤツいるわけねぇだろ、ってくらいの漫画的ヒロインキャラだったので、この子が難病で苦しんでいるって言われても「ふぅん…」以上の感情が湧いてこない。
大体セリフ回しがあまりにも小説的というか、話し言葉になっていない。屋上での会話で「こらこら。そんな難しい顔するじゃないっ!」なんて言い始めた時は、気持ち悪すぎてゲボ吐きそうになったぞ。浅倉南かお前はっ💦

確かに桜良を演じた浜辺美波はキュート。それは誰もが認めるところだろう。
しかし、あまりにも作為的な「かわいい」仕草には観ていて胃もたれしそうになった。
誰の言葉か忘れてしまったけど、「かわいいはかわいくない」という至言がある。
これは本当にその通り!何者かによって意図的に創造された「かわいい」は可愛くないのです!自らが主体性を持って見出したモノ/人にこそ「かわいい」は宿るのです!!
真の「かわいさ」とは千差万別があって然り。押し付けられた「かわいさ」にはなんの価値もない。
花王が発売するヘアケア製品のブランド「エッセンシャル」のキャッチコピーは「カワイイはつくれる!」だが、俺から言わせりゃ「作られたものはカワイくない!」だっ!

あと、この手の映画全てに言えることだけど、余命いくばくもない難病患者にも拘らず、血色が良すぎ。全然死にそうな人に見えない。数日間全く食事ができなかったんだロォ!?もっとガリガリにならんかいっ!!

この手の映画はヒロインに気持ちが乗れないとまさに地獄。2時間がいやー長かった。
正直ストーリーもなんやこれ一体?って感じ。「ボーイ・ミーツ・ガールはドラマになり得ない」という鳥海永行監督の言葉を思い出さずにはいられない、おままごとのような物語でしたねぇ…。
すげーどうでも良いことだけど、通り魔に殺された娘の携帯に「君の膵臓をたべたい」ってメールが送られていたら、「お巡りさん!犯人はコイツですっ!」ってなりそう。

特に酷いと思ったのは現代パートのクライマックス。
この現代パート、恭子から送られてきた結婚式の招待状に「僕」が返信しなかったり、トボトボと通勤する「僕」の後ろ姿を恭子が思わせぶりな表情で眺めていたりと、「この2人の間に何かあったんだろうな…」と観客が思わざるを得ない描写が続く…、が。
…いや、特に何にもないんかいっ!!じゃあさっさと返事を返せよ!めっちゃ迷惑だぞその行為。
この2人、共通の友達がいるってだけの殆ど赤の他人。
そんな2人の間にドラマが生まれるわけもない。
クライマックス、遺書を見つけた「僕」が結婚式場に駆けつけるわけだが、息を切らした平服の男が式場に駆け込んできたら、式場のスタッフは「やべぇ!修羅場だっ!」と思うでしょうね。ダスティン・ホフマンかお前はっ💦
大体あの手紙、そんなすぐに届けないといけない内容でもなかったし。普通に結婚式終わってからで良くないっ!?
案内状に返信もしないで式場に来て「友達になってくださいハァハァ」って言い始める、そんな男とは友達にならない方がいい。
この現代パートは映画オリジナルらしい。なるほどねぇ…。

ボロクソ書いたけど、良かった点もありますよ。
主人公を演じた北村匠海さんの演技は素晴らしかったです✨
人と会話する時の、どこ見ていいのか分からずキョロキョロっとしてしまうコミュ障的視線の動かし方は見事。非常にリアルな人物として「僕」をスクリーンに現出させることに成功しています。
特に素晴らしかったのは桜良が通り魔に殺されたことを街頭スクリーンで知る場面。
あのあまりの衝撃に自体を飲み込めず、呆けた様な無表情になってしまうという演技は本当に見事でした👍

もう一人、「僕」のクラスメイトのガム君を演じた矢本悠馬さんも素晴らしかったですね!
めっちゃ演技が自然体。出番は多くないが、間違いなくこの映画の中で一番演技が上手い役者さんでした。
そもそも、このガム君っていうキャラが良い。絶対に嫌いになれない愛すべき人物。もっと「僕」とガム君のブラザーフッド的な友情シーンが観たかったっす。
…いやでも、矢本悠馬の10数年後が上地雄輔ってあり得ねえだろっ💦全然顔違うじゃん!話し方も醸し出す雰囲気も何もかも違うじゃん!この約10年で、ガム君に一体何があったんだ…。
顔の系統的に言って、今野浩喜とかがベストだと思うけどなー。というか、出番も少ないんだし本人に老け顔メイクを施せばいけるんじゃね?

とまぁ、北村匠海さんと矢本悠馬さんの演技がとっても良かったのでちょっぴり加点。
単純な自分はこの映画を観て「メメント・モリ〜〜。一日一日を大切に生きていこう!」とか思ったんだけど、よく考えてみると世の中の99%の映画は「今を大切に生きよう」というメッセージを発している。別にこの映画が特別なんじゃないよな…。
どんな映画でも、大体観るたびに「一日一日を大切に生きよう!」と思ってるな俺、ということに気付いたりした、そんな一本でありました。
30過ぎの男には、この手の映画はやはりキツい!!
kkkのk太郎

kkkのk太郎