MasaichiYaguchi

シリウスの伝説のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

シリウスの伝説(1981年製作の映画)
3.9
サンリオのアニメーションというと、最近では「サンリオ男子」「SHOW BY ROCK !!」シリーズになるかと思うが、本作は文化庁優秀作品に選ばれた1981年に製作されたアニメーション映画。
物語は次期国主となる水の国のシリウスと火の国のマルタが或る日出会い、互いに惹かれ合って恋に落ち、その顛末をイングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」に準えて描いていく。
火の神テミスと水の神グラウコスは仲の良い姉弟だったが、その仲を妬んだ風の神アルゴンが根も葉もない悪い噂を流して2人を仲違いさせ、夫々、姉は陸へ、弟は海へと別れてしまう。
それ以来、両者は対立関係になってしまうのだが、シリウスとマルタが出会い、恋に落ちたことで大きな波紋を投げ掛けることになる。
キャラクターデザインをはじめとしたアニメーションは如何にも1980年初頭のものを感じさせるが、音楽をすぎやまこういちさんが担当し、その雄大でエモーショナルなスコアをNHK交響楽団が演奏しているので、そのファンタジーな映像と共に心に響いてくる。
対立国のカップルは関係が露見してから周りから非難されるが、逆に益々愛を深め、2人が暮らせる星の存在を知ったことで、そこに向かうことが共通の希望となる。
果たして、2人はそこへ行くことが出来るのか?
終盤で海を支配する水の神グラウコスの「誰が誰を愛そうとその愛に罪はない」という言葉が心に残ります。