MASH

We Are Twisted Fucking Sister!(原題)のMASHのレビュー・感想・評価

3.5
グラムメタルの元祖存在であるTwisted Sisterの長い下積み時代を追ったドキュメンタリー。彼らの音楽はひとまず置いといて、ドキュメンタリー映画としてどうだったか。全然悪くはないとと思うが、非常に魅力的なバンドである分、その魅力や情熱が100%表現しきれているとは言えないように感じる。

結成当初から人気があったもののデビューアルバムが出たのは結成から10年後という紆余曲折を辿ってきたバンドであるが、特に前半はドラマ性に欠ける印象を受ける。彼らの人生がドラマ性に欠けるというわけではなく(むしろドラマ性は高い)、映画自体が彼らに深く入り込んでいないので観客も入り込めないのだ。彼らの当時の苦しみなどは本人たちの口から語られるものの、結局ただのインタビュー映像集になってしまっている。これで130分以上はもとより大ファンである人は満足できても、僕のように彼らのことを初めて知った人にとってはややキツイものがある。

しかし、後半からは彼らの音楽への強い信念がひしひしと伝わってくる。圧倒的な攻撃性を売りにしていたバンドではあったが、その裏には音楽ではなく派手な見た目やライブだけに注目が集まってしまうことへの迷いや苦しみ、そしてそんな中でも自分たちの音楽に対する誇りを持ち続けたのだ。そして長い時を経て成功を勝ち取った彼らの姿はなによりも輝きに満ちている。彼らの音楽や思いが本物な分、ドキュメンタリー映画としての平凡さがもったいなく感じる。ただ、Twisted Sisterを知ることが出来たというだけでも観てよかったと思える作品だ。

(この映画を観た後CD衝動買いしてしまった)
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