Yuma

武士の家計簿のYumaのレビュー・感想・評価

武士の家計簿(2010年製作の映画)
4.5
とても面白かったです。

娯楽映画であり教養映画でもありますな。
そして森田監督のコメディセンスが随所に冴え渡る。

この映画は画面上の情報とキャラクターのセリフや行動が一致しない場面が多々ある、つまり見る側に真意を委ねる様な仕掛けになっているのでとても見応えがあるのです。
例えば息子直吉の4文銭に関わる件についてがそうですが、直吉の気位の高さが二重にも三重にもうかがえる一幕で味わい深いです。


全体を通して絶妙なテンポ感の編集、短くも意味深いセリフなど、多角的な見応えがある作品で、一度見ただけでは語りきれない深みがあります。
特に家財を売り払うシーンの会話劇はとても好きなシーン。

この作品の演技の方向性がすごく好きなんですよ。

主演の堺雅人と仲間由紀恵の演技力の凄まじさに肝を冷やしますし、脇を固めるベテラン役者陣もすごい。なんというか顔の表情筋で物語る力があるんです。特に顔相撲は堺雅人の「お家芸」ですし、ずっと見てられます。

願わくば直吉が父、直之の凄さを垣間見て感嘆するシーンがあったら良かったのか、いやそれもこちらが想像して楽しむべき作品の間なのか。

時をおいてまた見直したくなりそうです。
Yuma

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