名もなき技術者

武士の家計簿の名もなき技術者のレビュー・感想・評価

武士の家計簿(2010年製作の映画)
4.2
序盤の直之が藩上層部の不正を追及する個所や時々直之が成之に厳しく指導する箇所に、堺雅人が演じた半沢直樹を思い出し、半沢直樹のプロデューサーはこの映画を見て半沢直樹に堺雅人をキャスティングしたのはと思うほどに、堺雅人が直之に合っていた。
階級が高い武士であっても従来通りの家計のやりくりでは家計が苦しくなってしまうという点に直之を気付かせたという点で、序盤の米の帳尻が合わない問題がうまい導入になっている。さらに、(許されるわけではないが)勧善懲悪というよりかは生活が苦しくなって仕方がなくやったという背景にもなっている。
この物語の本質は「本質をとらえること」にあると思った。直之が有無を言わせずものを売り払った結果、借金の4割を返すことができ、その結果巧妙な交渉を行ったことで残りの借金を無利子で返すことができるようになったことや、直之が元服祝いで本当に大切なことは何かを吟味したこと、成之が日本のこれからを考えていたことで立場を変えて大村益次郎に仕えることになったことなどは本質をとらえていないとできなかっただろう。
OPの和紙に「武士の家計簿」と書かれたタイトルバックが良い。