ヤスマサ

武士の家計簿のヤスマサのレビュー・感想・評価

武士の家計簿(2010年製作の映画)
3.0
幕末の加賀藩で、御算用者として仕える猪山直之(堺雅人)の姿を描いた、古文書から窺える事実に基づいたドラマ。
財政厳しい加賀藩で、米の横流しや経理の不正が発覚すると、その一件を調べていた下級武士の猪山家八代目・直之は、異例の出世を果たすが、身分が高くなるにつれ出費が嵩む武家社会特有の習慣から、猪山家の財状も厳しくなる。

世間の潮流や価値観に流されず、淡々と仕事をこなす姿を描いた面白い話しなのだが、抑揚なく進むストーリーと暗い音楽に、どことなく陰気さを感じて楽しめない。
折角の「そろばん侍」というキャッチフレーズも活かされていないように感じる。
それでも、面識のない直之とお駒(仲間由紀恵)が浅野川で出会うシーンや、初夜に直之がそろばんを弾く音に「とても綺麗な音ですね」というシーンなど初々しく微笑ましい。
他にも4歳になる息子・直吉(成之の幼名)の袴着の祝い膳が絵鯛になったり、母親・常(松坂慶子)の「いつか着る」と処分を渋る姿、囲碁の石がシジミ貝の裏と表など、笑えるエピソードが散りばめられている。
にもかかわらず、全体的に重く、面白さが感じられないのが勿体ない。
個人的に森田芳光監督作品と相性が悪いのかも…、と思わせられ残念。
ところで、家財を整理した日に生まれた二番目の子どもお熊はどこへいったのか気になる。
ヤスマサ

ヤスマサ