花椿

武士の家計簿の花椿のネタバレレビュー・内容・結末

武士の家計簿(2010年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

号泣しちゃった。
この映画、好きで何度も観てるんだけど年齢を経ると同じ作品でも違うことに気付いたりして面白い。同じ映画を定期的に見ると自分の成長を実感できる。
映画館で観たとき、お婆ちゃんが音立てながらお饅頭食べてたりおじいちゃんがいびきかいて寝てたりしてて忘れられない。この映画のパンフレット、そろばんの形🧮を模した横に細長いもので洒落がきいてて好き。
武士としての体面を捨ててまで借金を清算する潔さと、後の世代が苦労しないようにと恥と貧乏に耐える姿に泣いちゃった。高校生の時に見たときはそこまで気付けなかったけど、生きることの大変さを今の私は知ってる。葬式の夜でもそろばんを弾いてたのは、家族の暮らしには結局お金が必要で、父が死に自分が大黒柱となった今泣いている姿や弱っている姿を家族に見せて不安にさせることはできない、しっかりしなければという責任を背負っていたから。でも息子はそこまで理解出来ずに前の世代や自分たちを生かしてくれた、そしてこれからの世代の生活を支える大切なお家芸の象徴であるそろばんを壊そうとした。自分を形作ったもの、生かすものを否定するのは死と同じなのかもしれない。それは自分を否定することになる。息子にあんなに怒ったのは父として自分の背負う責任に気付かなかった視野の狭いことへの失望と悲しみ、それからもし自分に何かあった時息子に家族を支えられるかという危惧と親心故……昔は分からなかったことに気付いて大泣きした。
家族の生活を支えるために優しくばかりしていられない、社会の中で騙されないよう利用されないよう虚勢を張って踏ん張るには嫌でも冷たさや厳しさが必要、でも表面ばかり見られてその奥の優しさや思いやりにはあまり気付いてもらえない、でも弱音を吐いて家族に頼りないと思わせるわけにはいかない、父親というものはみんなそういう孤独を背負っているのかと思ったら悲しさとかいとしさとか有り難みでいっぱいになった。直之の背中がよく映されてるのはそういうことなのかも。不安な表情を見せることも出来ず、黙々と仕事に向かう背中=男、父親の象徴なんだ。
劇中にもあった通り、多くの時代を踏み台にして新しい時代は出来ている。豊かさも便利さも。感謝って、とりあえずありがとうとお礼を言うことじゃなくて、自分の豊かさがどれほどの犠牲、恩恵を受けて作られているのかに思いを馳せて、有難いと実感することなんだって最近気付いた。
あとキャストが良い。それぞれの役がぴったりはまるだけじゃなくて、“家族”という役全体がしっくりくる。調和。役者さんてすごいよね。初めてあったばかりの人と親しい役とか演じるんだから。
堺 雅人、髷が日本一似合う。『あさが来た』で玉木 宏が髷をつけてた時には全然似合わなくてびっくりしちゃった。顔の濃い人には似合わないのね。堺 雅人で好きなのは『ジェネラル ルージュの凱旋』
仲間 由紀恵と松坂 慶子はドラマ『エライところに嫁いでしまった!』でも嫁姑役で好きだった。やなわらばーの主題歌が良い。仲間 由紀恵は『トリック』が1番好き!でも『ごくせん』も良いしな〜。
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