ニクガタナ

武士の家計簿のニクガタナのレビュー・感想・評価

武士の家計簿(2010年製作の映画)
3.5
倹約!算盤侍。加賀藩御算用者一家が借金返済に立ち上がる、実話ベースの加賀ご当地時代劇第一弾。鶴亀算にぞっとするほど算数が苦手なガチ文系なので、幼少のみぎりより、朝から晩まで日々計算なこんな家に生まれなくて良かったと安堵する。曲がったことを見逃せず、藩内の不正騒動に巻き込まれる主人公の実直で面白みのない感じが堺雅人にハマってる。妻役仲間由紀恵が和装似合って可愛い。中村雅俊、松坂慶子、草笛光子の家族が良い味出してる。大したドラマも無く、夫婦愛も親子愛もあまり盛り上がらないが、家族と町の人々の営みを明治に至るまで丁寧に描き、宴席で振舞われる絵に書いた睨み鯛や、大事な着物、骨董を売り払う滑稽な英断模様など、ちょっとしたネタがけっこう面白い。大島ミチルによるピアノ基調の繰り返される四曲の劇伴がやや大げさにも感じるが、時々不覚にもうるっときてしまう。季節や状況の移ろいと共に、城に屋敷に繰り返される同アングルでリズムを作って上手い。普段小物ばかり演ってる印象の山中崇が加賀藩主ってのがまた愉快。老けメイクだけでの老い表現は限界を感じる。森田芳光監督作って冒頭堂々と主張するほどでも無いと思うが堅実な秀作。御明算。
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