りー

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のりーのレビュー・感想・評価

5.0
2016年のTIFF以来の劇場鑑賞。
当時も消化しきれないような、特別な感情が湧いてきて劇場から歩いて帰ったことを思い出す。
濱口監督×岨手監督のトークショー付き上映で再見。

"映画の内容を覚えていられない"という点で、同じく台湾を代表する監督であるホウ・シャオシェンの世界的にも評価が高い「悲情城市」と類似性を感じる。
(歴史を描いている点でも類似性がある)
観客の物語理解を妨げるような構成。
何かが通り過ぎるのをただ見ていたような鑑賞後感。

「牯嶺街少年殺人事件」はクライマックスの"事件"が強烈に印象を残す。
クライマックスについて逆算して咀嚼しようとした時に、これまでただ通りすぎていったものが伸し掛かってくる。
全てがクライマックスに向けて積み上げられていたことが分かる。
この点が「悲情城市」の語りとの違いとなるのだろうか。

初回の鑑賞時、あまりにもただ映像が通り過ぎるだけなのでラストの展開にあっと驚きしばらく考え込んでしまった。
この映画のタイトルが何であるかは全く頭の中から消えていた。
それほどにこの映画は私を通り過ぎる。
そう、全てはクライマックスに向けて積み上げられているのだ。
りー

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