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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のryoのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

暗闇、光、影。

映画スタジオで盗んだライトを持って闇を照らす。ただ光が照らすのはうまくいかない、不安定な人や繋がりばかり。

階段の踊り場で吹奏楽の演奏の中、ミンに守ってあげると叫ぶ。純粋さ溢れる。
僕が君を光で照らすことで、逆に僕が生きていける光にもなる。
ただ、正義が通用しない不公平な世の中では、その愛や光は余りにも正義に満ちている。余りにも光が強すぎると、それは狂気になる。

この光を否定したくもないし、ただこの社会に生きているとそれを純粋に肯定もできない。だからこそ何とも言えない気持ちになる。

そしてライトを置き捨て、ライトは短刀に変わるのだが、
光と暴力の違いが、この時点で分からなくなってしまうことの怖さ。



一つ一つのショットに、
個人個人の思いと、そこに絡み合ってくる相対していない他者や国家、社会の存在を感じる深みのある世界が含まれていて時間の長さを感じない。
ショットから浮かび上がってくる、その背景にある深み、歴史も純粋な2人をあの結末へ導く。
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