あなたのやさしさを何に例えよう

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のあなたのやさしさを何に例えようのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

学校で教員と話して、自転車を押す父親と二人帰るシーン。
このときの二人の会話は息子への信頼と、父親への尊敬があった。
意外とキーとなるシーンである。

他校の不良に小四が囲まれたときに助ける小虎の良い奴感。
一足遅れて助けにやって来る他の少年たちのチャーミングさ。

◎小四が小明に心配ないと言うシーン。
どうして背景で演奏させたのだろう。
二人を祝福するためか?
小四の声はかき消されている。
それは二人の関係の暗示なのか。

◎バスケットボールが転がってきた向こう側の暗闇と会話するシーンはやはりすごい。
この暗闇は小四や小明の家族が直面する時代の暗闇にの通じるようだ。
何も見えない中、手探りで進まなければならない時代の背景。

父親が「もう私にはお前と子どもたちしかいない」と泣いて崩れ落ちるシーンは切ない。

滑頭が更生しているの気持ち悪い

再び学校で教員と話をして、自転車を押す父親と二人で帰るシーン。
前半の同じ構図のシーンでも状況が全く変わっている。
小四の変化、父親の絶望

どうしようもない時代の閉塞感。抑圧。
ゆえに多くの若者の将来や命が犠牲となったのだろう。特に小四のように優しい繊細な少年少女が。

静的なストレスと動的なストレスが蓄積されて、後半は押し寄せてくる。
無力な親の姿。不公平な社会に希望を失い、思いを寄せていた小明と親友に裏切られて。
未熟な少年には処理しきれなかった。それがこの「結果」に。

23.08.13
TOHOシネマズシャンテ
(2回目)