陽光と宵闇に彩られた不良少年達の抗争劇と、ファム・ファタールを巡るサスペンスが物語の基調。なのだが、全編にわたって生々しい政治の気配が充満する。社会全体を覆う欺瞞と不信という現実と、理想を生きたいと願う少年の内面が痛々しいまでに衝突して、あまりにも残酷な悲劇を招く。
歴史という大海を視界にとらえながら、個人の微細な感情の揺らぎにどこまでもフォーカスするという二刀流が徹底的に洗練されていて、ヤバい。
重く苦しい映画であるのは間違いないのだが、絵画のように美しく端正なショットを4時間にわたって浴び続けるので、覚めながら見る夢のような体験でもある。