バス釣り太郎

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のバス釣り太郎のレビュー・感想・評価

4.5
2回目。英題と邦題で受ける印象は真逆なのだが個人的には二つで一つというのがしっくりくる。それは懐中電灯では照らしつくせない巨大な闇と同時に、この映画には青春のみずみずしい歓びの光も等しく確実に存在していると思うからで、二つが作用し合っているとは言わないまでも、光の部分の存在がより残酷さを増させているそんな感じがする

派閥争いのあれこれを上手く把握するのが苦手なのと、大量の人物を収めようとするカメラ位置が遠くクーリンチェという世界の客観視を強制される(その分、人物の導線などは『恋愛時代』とかよりも綺麗に感じる)から、どうしてもヤンの他の作品より好き度は低くなってしまう。けど、いくつもの宙ずりにされたシーンが編み込まれていく感じと、そのそれぞれが余すことなくセンセーショナルで美しいことがほんとうに凄くて凄い。リトルプレスリーのテープでまたほろっと泣いちゃった

109シネマズプレミアム(一人4500円)で見たい!と母におねだりしたら奢ってくれたまじ女神様。惜しくも坂本龍一の遺作となった音響システムのおかげか、印象的な画面外の音たちについてもよく聞こえたように思う