Happa2001

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のHappa2001のレビュー・感想・評価

4.4
ひとときも見逃す事のできる瞬間が一秒たりともない映画だった。
エドワード・ヤンはこの私たちの生きる世界の、生きることそのものにうまれる厭さをなんでこんなにも美しく撮るのだろうか。こっちも厭だなーと思いつつも、まんまとずっと観させられてしまうので困ってしまう。(今作の主人公はその厭さに折り合いをつけれないで破滅を迎えてしまい、『恋愛時代』はこの厭さに折り合いをつけてしまった大人たちばかり出てきて、『ヤンヤン』はその厭さをまだ知ることのない幼い子供が出てくるのも興味深い)。
今作は、学校の中の同級生の会話や街の風景が、本当にこのままずっとこの世界が続いてゆけばいいのにと思うくらい心地よくて、全く退屈じゃなかったのだけれど、最後のクライマックスでその世界が完全に、完璧に、跡形もなく終わってしまう。それが本当に本当に哀しくて、ショックでそのあと人に会う予定だったのだけれど、急遽それを辞めてしまったくらいだった。そう思わせる作品を一生に一度は作ってみたいものだと思う。
個人的には主人公の友達の小猫王というやつが最後までずっといい奴ですごい好きなキャラクターだ。

そう言えば、この映画はファーストカットから点灯と消灯というイメージが多々出てくる。明らかに意図的なのだけど、どう意味があるのだろうか?
Happa2001

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