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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のNのレビュー・感想・評価

4.0
いや〜この内容で4時間〜バカ疲れた〜
恋愛映画でもあり青春映画でもあり時代物でもあった

白色テロ時代(後から勉強した)の息苦しさと不安が凄く伝わってきた 正しさを守ろうとするお父さんがそこに絡め取られていくの辛かったし、それが小四にも伝わって最悪の形で発露しちゃうのもしんどかったなあ
小四は「なんでこんな社会なんだ」「こうあってほしい」「これが正しいはず」というのに縋りたかったんだよね それを自分勝手と言ってしまえばそれまでだけど、切実な願いだよなと思った
王茂(リトルプレスリー)いいやつすぎて泣きそうだった、テープ届いて欲しかったな...

親は子供に無関心なわけじゃないけど、子供に充分な時間を割いてやれる余裕がない、お金もない 一向に良くならない暮らし向きと「これからどうなるんだろう」という不安は子供にそのまま伝わる
韓国映画の『はちどり』を少し思い出した、あれも軍事政権時代の不安定な韓国に生きる中学生の話だった

この後に撮った90年代台北が舞台の『エドワード・ヤンの恋愛時代』と比べて時代の雰囲気が違いすぎるけど、どちらも時代を映した映画だった 時代物として優れた映画を撮るのが本当に上手

撮り方もめちゃくちゃ綺麗だった
一番最初にも使われてる部屋の中を覗き見するようなショットや、実際の会話の声だけを流しながら画面では静止した部屋を映すショットが多用されていたけどどれも見事
それから暗闇とそこに差し込む光の撮り方がピカイチ これを観るためだけにも映画館で観た方がいいと思った
後から誰かのレビューで見たけど、暗闇は当時の台湾社会の暗さで、そこに差し込む光は少しの希望を表していたのではと
懐中電灯を手放した小四は暗闇に飲み込まれてその後小明を刺してしまう そういえば小明の名前にも「明」という字が入っていて...しんどいな〜
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