プププ

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のプププのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

本当に劇場で見れて幸せ。

真っ暗な映画館の中だから見えるほどの微妙な光に目を凝らしてる時間が本当に幸せだった…

パンフレットの中で濱口さんが忘却について書いていた。
この映画で起こることは見ている内にほとんど忘れていってしまい、忘れていきながらも物語は進行するが、あるきっかけ・事件でそれが思い出される。そして、最後の悲しい殺人事件では忘却していた事柄が全て連なって想起させられ爆発を起こす。
大体そんな内容が書かれていて、自分もその評論やパンフレットの情報を読んでいる内にドンドン忘れていたことを思い出した。
その想起の体験はもちろん他の映画でも起こりうることではあるけれど、この映画だとその深度が全然違う。登場人物一人一人の行動は数珠繋ぎのように、物や感情を媒介してつながっていて、思い出している内にあの真っ暗な世界そのものに引き戻されるような…
自分が見た映画館自体の暗さが、記憶のブラックボックスとリンクしてるような感覚になる。

誰かとこの映画の話がしたい。思い出したい。
プププ

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