まや

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のまやのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

拘束時間が長いので絶対映画館でないとと思っていた作品。特集を組んでくださって本当に感謝。映画館で観られて良かった。

エドワード・ヤン監督はいくつか観てきて、いつも人々の生活と共にその時代背景や社会の置かれている状況が人々に深く関わっている視点がいつもあって、台湾という土地がそうさせるのかわからないけど、だからこそ、リアリティがあって物語に深みが出るのかなと思う。

決まった形がなく、でもいつも人間の本質を見つめてきた方なのだろう本作を見て強く感じた。

光と影の使い方が本作も美しく、基本的には影の多い暗めの作品になっている。その中で白くて、独特な雰囲気のヒロインが光に見えるけど、それすらも最後は影を落とす。とても暗い物語だった。

この作品は時代や過去の積み重ねがその連続性がその人の人生の選択に深く関わってくるのだと思った。このような環境下で人は変わっていくし、変わらないと生きていけないのではないかとさえ思えた。

だから、最後の結末も必然的というか、突然のように見えるが、それは積もり積もったものの結果としてただそこにあるという印象で、驚くよりも納得感の方が強かった。同じくらい濃い時間を過ごしているような展開と、映画の上映時間があるからこそ成せるのだなと思った。

いろいろな切り口から人間を描くエドワード・ヤン監督本当に大好きな監督だ。
まや

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