ばる

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のばるのレビュー・感想・評価

4.8
そもそもこのような映画が存在するという事実こそが衝撃だった。エドワードヤンはなぜここまで悲劇を悲劇のまま伝えられるのだろうか。音楽は必要十分なだけ。観客に彼らの望ましい感情の動きを示唆的にすら指示することをしない。カタルシスを与えない。泣けない。小説よりも奇なる現実を、現実よりも美しくだからこそ残酷に描きえたのか。4時間なんてすぐ。魅力的なカット群がいまだに強く印象に残っている。
ちなみにバイオレンスではない。繰り広げられる暴力は単に悲鳴が可視化されただけの暗喩として捉えられる。このような惨状に対して矯正的正義が有効に機能する余地などあるのだろうか?
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