スペクター

エグゼクティブ・デシジョンのスペクターのレビュー・感想・評価

3.5
それほどでもない俳優を一気にスターダムに押し上げる映画がある。

『エグゼクティブ・デシジョン』 もその一つといえる。

今や、ボンドガールスターとしての地位を確立している “ハル・ベリー”、
この映画でその素地を築いたといえる。

片や、社会派からコメディーまで幅広い演技派俳優でもある実力派アクションスターとして有名な “カート・ラッセル”、
5年前の 『バックドラフト』 で一躍有名に成ってはいるが、あくまで “ロバート・デ・ニーロ” “W.ボールドウィン” との3人セットであった。
今回は、堂々のトップ・ヒーローである。

さて、内容は、
アテネ発ワシントン行のジャンボジェット「オーシャニック航空343便」がテロリストにハイジャックされ、化学兵器によるワシントン壊滅の危機が勃発。
いつもの“テロもの”のように、ハイジャック機を撃墜し400名の乗客丸ごと海に沈める案が検討されるが、
テロリストの制圧と乗客の救出を最大の目的とし、
軍の特殊部隊を空中からジャンボ機に乗り込ませるという作戦を決行する。
まさしく、“最高位決断” すなわち “EXECTIVE DECISION” が執られたのである。

*カート・ラッセルは、情報部顧問のデイヴィッド・グラント博士役として眼鏡にタキシード姿で登場。
*ハル・ベリーは、この映画に相応しい機智に富んだキャビン・アテンダントを見事好演している。

*特殊部隊中佐役でスティーブン・セガールが脇役として特別出演しこの映画の箔を付けているが、
まことに勿体無い使い方である。 セガールが気の毒である。
カート・ラッセルだけでは、心許無かったのか。
*テロリストのリーダー、ナジ・ハッサン役のデヴィット・スーシェ、『名探偵ポアロ』 のイメージが強いが
テロの目的意志を貫く冷徹な悪役として適役。

見応えはなんといってもラスト20分の着陸シーンである。
ラッセルとベリーの固唾を呑む演技が圧巻である。

エンドロールに流れる、フランク・シナトラの “IT'S NICE TO GO TRAV'LING” がなんともこの映画のエンディングにふさわしい安堵感を与える名曲である。
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