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フェンスのkissenger800のレビュー・感想・評価

フェンス(2016年製作の映画)
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リモートで監督している部下との距離を縮められれば。みたいな思いで、2017~2018年は、自分の部下「だけ」を読者として、今日俺が読んだ本あるいは見た映画。の感想をイントラブログにえんえん書き続けていたんですけど、この作品の記録が2017年9月30日付で発掘されたので、自分の文章だし遠慮なくコピペしちゃう。
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まず私がいかにデンゼル・ワシントンを愛しているか、を前提にしたい。よござんすか。傍証用のネタには事欠きませんが、ニーズ無いので省略しますよ。よござんすね。
そのうえで言うと、アカデミー賞の主演​(2001)​​助演(1989)両部門で受賞して以降、俳優として登る山がなくなったものだから満を持して映画監督デビューしたものの肩に力が入りすぎてみんな無口になるような作品に仕上がり(2002)、その後のリベンジ作もまあ同じで(2007)、そうこうするうちにアフリカン・アメリカン俳優イケメン枠としては年齢的にもギャラ的にも対象外になります。
ジャニーズならマネジメントに移行するところですが(あながち冗談ではなくブラッド・ピットがそれで成功しつつある)もう一回監督やりなよ! と海の彼方で私がやきもきしていたところに、この「フェンス」(2016)アカデミー賞4部門ノミネートですよ。そらもう私の喜ぶまいことか。
日本では劇場未公開という仕打ちを受けましたが、いいんだ見たらそんなことはどうでもよくなるぐらいにずっしり値打ちのある作品だったから。
毒親である父視点から描いた家族の物語で、自分の家の庭にフェンスを建ててその内側では俺が王様だ、って言うのがデンゼル。もちろんそのフェンスを越えて社会の風は入ってくるわけで、メキシコとの国境に壁を。という政治家による発言のオカシさは(本人と支持者以外には)自明なのに-という諷刺として抜群なタイミングで公開されたこともあって前出の高評価を得ました。
いかにもブロードウェイ戯曲原作らしい饒舌なセリフの積み重ねに圧倒される第1幕。え、そうなるの? という第2幕。最も驚きが少ない第3幕。それらの比率が7:2:1という不思議な構成ですが、決して竜頭蛇尾ではなく、第3幕があることで傍観者であるわれわれにも救いが訪れるという、映画監督として称賛に値する仕事であります。いやー良かった良かった。
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