d3

フェンスのd3のレビュー・感想・評価

フェンス(2016年製作の映画)
3.7
人種差別によってメジャーリーガーになれなかった男は、家族を食べさせることと、子どもたちを自立させることこそ己に課せられた義務として仕事に従事している。
フットボール選手の次男が大学からスカウトを受けるものの、自身の経験から「黒人が活躍できるわけがない」と断ってしまう。すでに時代は変わりつつあり、黒人メジャーリーガーも誕生しているが男は価値観をアップデートできない。自分がメジャーから誘いがなかったのも年齢のせいだったかもしれないのに、男にとって差別で虐げられたことこそ真実である。

男の信念によって、くつろぐべき家庭は家族の誰もが息苦しさを覚えていた。
「こうするしかない」という固執した考えが可能性を狭め、みずからの価値をも貶めることもあるのだが、厳しい社会を生き抜いてきた男が息子の幸せを願って、強権をふるったことも理解できる。

男が気に入っていた小さな庭に家族が集ったとき、はじめて男と家族の気持ちが通じ合ったのかもしれない。
d3

d3