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フェンスのZooのレビュー・感想・評価

フェンス(2016年製作の映画)
3.5
頑固で厳格な父を主人公として、家族との関わりを客観的に描いた作品

基本的には家と、フェンス内の庭ばかりという場面で客観的視点で描かれる舞台調で台詞がとにかく多い

主人公は昔野球選手になりそうだったが人種差別や年齢などによりなれず今はごみ収集を仕事にしている父親

その周りを退役軍人で後遺症により知能低下した兄、34歳でミュージシャンになろうとしてお金を借りに来る前妻との息子、フットボールでスカウトの話が出ていたがスポーツに対して嫌な思いを持つ父に反対される息子、同じくごみ収集仕事仲間の親友と妻を含めた6人で話が進む

主人公の家族を守るのは愛ではなく責任によるものだという理論は真っ当ではあるしちゃんと育ててくれているという見方によればいい父親
一方で息子に愛してることを伝えず高圧的な態度で接するやり方は本人が嫌っていた自分の父親のようなものでしかなく、スポーツ界に対するイメージとともに前時代的

主人公自身も昔は人種差別で苦しんだのであろうが、本作ではむしろ主人公側がそれを再生産しており、家父長制の権化となっているなど、なかなか難しい役柄になっている
しかも浮気をして娘ができたことを妻に言ったり妻のことを考えず浮気は仕方ないことだという傲慢さ、さらにその娘を妻に育ててほしいというどうしようもなさなど基本的にクズである

一方で彼が愛情は見せずとも家族が無事に成長するよう努力していたことも理解できた

亡くなった後の妻の息子に対する発言に対しては、「奥さんは自分で夫を選んだしいい時もすごしたんやろうけど息子は選んでないからその言い方は的外れちゃうの?しかも親から夫と出会った時この人の子供を産みたいと一目で思ったとか聞きたくないやろ」と思ったので息子が気持ちを変えた理由に十分納得できなかったし、なんかいい終わり方を無理やりしているような印象を受けた

2024年初見35作品目
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