橋田壽賀子も真っ青の長台詞を名優、デンゼルと、ヴィオラがああいえばこうやり返す前半。
これ、1950年代の話なのですね。
まだ黒人差別が色濃く、這い上がることさえなかなか難しい時代。
これ、デンゼルだからこそ成り立つ主人公ですね。
時代もあるけれど、挫折してそのままくすぶってしまった弱い人。
対するヴィオラ演ずる二番目の妻は、そんな夫を愛しつつもとても芯の強い女性。
この二人の会話で二人がどんな人生を歩んできたかをこちらに教えてくれます。二人の性格と、考え方。
息子二人もそんなモンスター父に対するそれぞれの接し方をして、障害のある弟、善良な友人、みんな彼の家に来るという舞台のような仕掛けでとても近い。
タイトルのフェンス、それが次第にいくつかの意味を持つことがわかってきます。
とても悲しく辛いことがいくつも起こり、この作品は息子の目線なんだなと。それに最後、ハッと気がつかされました。
それまでの苦くも苦しく映るものたち…
ああ、家族って、そうなんだよね。
これは紛れもなく家族の記憶、血のお話。
前半観るのは少し苦しかったものの、ラストを観ていい作品だなと。これが日本の劇場で公開されないなんて…