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ムーンライトのmotoyAliveのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.2
『自分の道は自分で決めろ。周りに決めさせるな。』
アカデミー賞作品賞を受賞した黒人青年のセクシャルアイデンティティへの目覚めと同性愛を繊細に描いたヒューマンドラマ。

《あらすじ》
薬物依存の母親を持つシャロンは家では母親から相手にされず、学校でもいじめられ、孤独な生活を送る。そんな中、同級生のケヴィンだけが唯一の友達であった。高校時代のとある日の夜、シャロンとケヴィンは浜辺に訪れ、月夜に照らされながら二人は語り合う中、シャロンの内に秘められたものが解き放たれる。

《感想》
主人公シャロンの少年期、青年期、成人期の3章立てで描かれていて、それぞれを別の3人の俳優が演じているものの一本の線で繋がったような違和感のないひとりの半生を見ているようだった。大人になっていくにつれて見た目は変わろうとも内面の表現の仕方は共通していて、素晴らしい演出、演技の賜物と感じた。

LGBTQ、貧困、薬物、いじめ、ネグレクトという様々な社会が抱える問題を投げかけており、かなり重たい内容であるにもかかわらず、それとは反して、映像がとても美しく、色彩も豊かで、この作品の象徴でもある青が印象に残る。撮影後にブルーエフェクトを掛けて編集しているそうだが、現実離れはし過ぎず目に見えるものとしておかしくない程度の絶妙なバランスで色彩の美しさを極めているのがすごいと感じた。

映像の撮り方を見ても、画面いっぱいに登場人物の顔を映すアップショットが多く、被写界深度の浅い、背景をぼかした撮り方は登場人物が際立ち、表現の移り変わりにフォーカスできるカメラワークで、より映像に没頭させてくれる。

A24×PLAN Bの組み合わせは間違いないと思わせてくれる一作。
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