Masato

ムーンライトのMasatoのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.2
アカデミー賞作品賞受賞!!!おめでとうございます!リバティースクエアという危険な街からアカデミー賞まで、素晴らしい成り上がりをしたバリージェンキンスに拍手!!!

日本最速試写会にて

アカデミー賞の大本命ララランドの対抗馬である本作。
1人の黒人男性を少年、青年、成人期と3つの時代を通して描くドラマ。

ララランドはミュージカルで素晴らしいまでに多彩な感情を表現した明るい映画であるが、ムーンライトは詩的な映画で、セリフも少なく、語ることも少ない。とてもセンシティブな映画だった。
これも映像美で、青みがかった月の光が印象的。

主人公を3つの人生の時代に分けて描く本作だが、見事に3つの時代しか描いていないということ。ということは、3つの時代の間にあったことは一切映像に表現されない。
段々と主人公が成長していく様が描かれるが、どうしてそうなったのかがじわじわと見ていくうちに断片的にわかるようになり、そこが素晴らしいなと感じた。

主人公の母親が麻薬中毒者で、自覚する前からゲイといじめられていた。この映画にはそこまで直接的な描写はないので、その環境の辛さをあまり感じないが、監督と脚本の人がこの映画の舞台の出身で、本当に親が麻薬中毒者で育児放棄状態だったということを考えると、これは違うなと。こんな中で監督たちは必死に頑張って学士をとったり、イェール大学でトップになったりと本当にすごいなと思った。そこで主人公のシャロンを自分と置き換えてみたら、とても辛い事がわかった。こんな人生に生まれたら希望なんて持てないよ。

LGBTや貧困問題をメインの背景に、時事的なものを取り入れながら進んでいく。しかし、この映画にはもっと大きなテーマがあるなと感じた。多分それは町山さんが言う通りに、「自分の人生は自分で決めろ、周りには決めさせるな」っていうセリフが大きなテーマだったのかもしれない。
そう思うと、終盤の主人公は本当に"あの人"を大切に思ってるんだなって今更じわぁと感じてる。

マハーシャラアリ凄い。これに尽きる。なんか凄い演技。いつまでも主人公のそばにいてくれる感覚が本当にすごい。
ナオミハリスも演技の幅が広いです。
Masato

Masato