【月明かりの下で黒人の子どもは青く見える】
この監督の演技とリアルへのこだわりは非常に高い。
例えばフアンがシャロンに海で泳ぎを教えるシーンでは
本当にこの時のシャロンは泳ぐのが初めてだったし
成長していくシャロンの幼少期、少年期、青年期のそれぞれの役者はお互いに影響を与えないよう
撮影を終えるまで顔を合わせることはなかったし
舞台であるフロリダ州リバティシティは監督の生まれ育った街である。
原作者は幼い時、シャロンと同じように虐待を受けた。
そしてハリウッドでもてはやされるエンターテイメント性は一切排除されている。
そこには黒人で同性愛に目覚めた主人公の日常であるリアルが存在しているだけだ。
そして本作のテーマでもある
フアンがいう「自分の道は自分で決めろ、周りに決して決めさせるな」
人は他人と比較してその違いに悩み苦しむ。
他人から見られる自分が嫌われないように。
自分は自分だと割り切ることができればどれだけ楽なのかわからない。
そんなマイノリティである者の日常は普遍的であり否定することができない日常なのだ。
誰もが日向での温かい光を好むわけででない。
夜の光
それは彼にとって居心地のよい場所なのだから...
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