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ムーンライトのfujiponsaiのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.6
アカデミー賞始まって以来の不手際と言われたミスでラ・ラ・ランドとともに有名になった作品。

この作品とラ・ラ・ランドが作品賞を競ったということがそれ自体とても興味深いと思いました。

主人公のシャロンはアメリカの黒人社会に暮らす少年で、同級生にはいじめられ、お母さんはドラック中毒。
こう書くと重苦しくてやりきれない感じがしてしまいますが、映画はもう少しドライにシャロンとケビンの友情、そして偶然出会った黒人男性(ファン)との交流を描いています。

ファンがシャロンに言う言葉一つ一つや眼差しに愛が溢れていて心に残ります。それに、ケビンと過ごしている時間の真っ白な光や青い月の光の美しさ。

LGBTを主題にしている映画とも言われますが、ここに描かれている「愛」は失ったものへの後悔も含め誰もが共通してもつ、純粋に人を思う気持ちだと感じました。

最後に一番びっくりしたことは・・
前知識なく見たせいで、この映画の舞台がアメリカ(フロリダ州マイアミ)だと思いませんでした。N.YやL.Aで描かれる世界とのあまりの違い。街の中にも学校の中にも白人の姿はありません(警察官だけ?)
アメリカ社会の広さや問題点も月明かりのように静かに提示されています。
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