Niylah

愛の部屋、裸の2日間/朝までの二夜のNiylahのレビュー・感想・評価

4.3
『2 Nights till Morning/朝までの二夜』
あらすじ読んで絶対好みの映画だなと思ったら、その通りだった!リトアニアを舞台にフランス語/英語/フィンランド語の飛び交う大人の恋愛映画。フランス人建築家のキャロリーヌ、フィンランド人DJのヤッコ。異国の地での偶然の出会い。共に過ごす二夜。映画『ポルト』に似ている。悪意すら感じる官能映画のようなジャケ写と邦題だけどそういうシーンはほぼ無し。二人の男女の揺れ動く心理描写、アンニュイな雰囲気。

カタコトでしか言葉が伝わらない(フリでも)微妙な距離感での出会い、お互いに母国語ではない言葉で会話するもどかしさ。その煩雑さもこれから始まる恋の為の戯れのよう。主演二人がキラッキラの美男美女じゃなくてちょっと疲れきってるかんじがまたなんともいえずリアルで。仕事終わりの夜、色気のないパンツスーツに崩れたメイクのままホテルのバーで一杯飲みたい気持ち。部屋で1人で飲むのではなく、くだらない会話をBGMに喧騒の中に身をおきたい気持ち。そして長年付き合っている馴れ合った同性の恋人がいて、でも、バーで声をかけてきた男性の部屋に何も考えずにふらっとついて行きたい気持ち。求めてるのは愛情でも刺激でもない、ただ今この疲れきった体と空虚な気持ちを一瞬でも満たしてくれる相手が欲しいだけ。そんな厄介な気持ち、なんだかわかってしまうんだなぁ。翌朝目が覚めた時の気まずい気持ち。わざと装う素っ気ない態度。ちょっと飲み過ぎただけと相手にも自分自身にも言い聞かせる。そしてそういう時に限って、そういう相手に限って、気持ちが揺れ動いてしまう。世界中どこでも繰り広げられているありきたりな情事のはずなのに。

10代の頃に思い描いた将来の自分はどこ?それなりに仕事もこなし趣味に費やせるお金もある、恋人/配偶者もいるし何不自由なく暮らしてる、決して不幸ではない今現在。でもどこか満たされない。ふと違う選択をした自分を想像してみる。

「"運命の人'って概念は自分を安心させるための道具よ」

「僕は存在すると信じたい」
Niylah

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