ベンジャミンサムナー

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

2.5
 自分は2012年に六本木で開催された「ジョジョ展」に行くぐらいにはジョジョファンだが、だからこそ本作は観るのが怖くて劇場公開時はスルーしてた。

 だが、想像以上に出来が良かったTVドラマ『岸辺露伴は動かない』の映画公開を機に、比較のためについに鑑賞した。

 …まあ、必死に原作を再現しようとしてるのは伝わってくるが、連載漫画と実写映画という根本的に異なる媒体で形だけ真似ても、どうしても"歪み"ができてしまう。

 ジョジョの世界観に寄せるためにわざわざヨーロッパで撮影されたが、周りのモブ(エキストラ)は普通の日本人なので、結局メインキャストのコスプレ感が際立ってしまう。

 ストーリーも、原作の序盤の展開をほぼそのまま踏襲しているが、一本の映画として観た時に後半1時間はずっと虹村家内で冗長だし、クライマックスが虹村父の話と形兆の死じゃ盛り上がりに欠ける。
 その上で、音石明の存在は省いてシアーハートアタック(吉良吉影)に形兆を殺させてる。

 だったら、一本の映画としてクライマックスにカタルシスと盛り上がりがくるように再構築したらいいんじゃないか?

 本作と『岸辺露伴は動かない』を比較すると、原作モノは「原作の再現」よりも「実写にどう落とし込むか」が重要であると分かってくる。

 ただ、小松菜奈演じる山岸由花子は、元のキャラデザがそこまで奇抜じゃないのもあって結構ハマり役だと思う。

 由花子さんが康一くんを監禁する下りを三池崇史が撮れば、それこそあの傑作『オーディション』みたいにできそうで、そこだけは実写で観てみたいかも。