CANACO

女神の見えざる手のCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

痛快なラストと、キレキレの女性ロビイスト・スローンの活躍ぶりが楽しい社会派風ドラマ。
個人的にはすごく好きな部分とそうではない部分がはっきりあったが、勧善懲悪テイストで不快要素はほぼない。社会派ドラマが苦手な人や銃文化を広めたい人以外にはおすすめ。

高い勝率を誇る有能なロビイスト・スローン。彼女が所属するコール=クラヴィッツ&ウォーターマン社に、「銃規制強化法案に反対する女性を増やしてほしい」という依頼が入る。
銃所持の賛成派であり莫大な資金をもつ団体代表、“優良クライアント”のサンドフォードが直々にスローンに依頼しに来社したが、銃規制強化法案に賛成のスローンは媚びることなく冷たくあしらう。
会社(上司)の指示に背いたスローンは、その“衝突”に気付いたライバル企業のピーターソン=ワイアット社のCEOにヘッドハンティングされる。
スローンは自身の信念から転社することを速断し、「銃規制強化法案を通す側」のロビイストとして行動することを社内で発表する。彼女についていく仲間は数名いたものの、意外にも2年右腕として行動し、スローンが頼りにしていたジェーン・モロイは「残る」と言い、飼い犬に手を噛まれた格好となる。
そこから始まる、“銃規制強化法案”の可決/否決のため奔走するスローンを軸としたピーターソン=ワイアット社と、コール=クラヴィッツ&ウォーターマン社との闘いの物語。

主演のジェシカ・チャステインは『IT THE END』のベバリーも演じた人。『プラダを着た悪魔』のような切れ者が出てくる話が好きなので、かなり好印象。話がテキパキ進むのも気持ちいい。
一方であまり得意ではない“ヒーロー物”のニュアンスがあり、実話じゃない・原作ない作品にありがちな強引さも感じる。スローンとちゃんと張り合える人物が出てこなかったのは残念。CEOはおろおろしてるだけだし。途中で離脱したエズメ・マヌチャリアンの存在は大きかった。

ラストは、冒頭からかなり丁寧にヒントを張ってくれていたので、多分そうだろうと予想した展開に。わかっていても『遠山の金さん』のような爽快感があった。

インドネシアのパーム油案件の書類(賄賂の証拠)がキーなっているが、あれは前社の案件なので、相打ちにならないのか(会社の責任は?)。会社の実績と自分の勝率のために身銭を切って賄賂を渡してたというのは荒唐無稽すぎるし。この辺りはしっくりこなかった。私が理解しきれていないだけかもしれない。
会社の案件なのに、最新案件の書類チェックを、ジェーン・モロイ以外全員思いつかないなんてことあるのか。


◻︎ほか
エスコートサービスの男性がよかったです。恋愛じゃない愛のようなものに、ちょっと痺れました。
CANACO

CANACO